770-インド

インドに行ってきた。

 あまり深い渡航理由はない。

今年はベトナム・アフリカ・サムイと海外に行った。数えてみると今回の
インドを含め37日間。今年はもうスケジュール的にタイミングがないので
今回で打ち止めだ。自分でも、もう少し行ってるかと思ったが、年間でいえ
ば一割程度である。来年は少し長めの休みをとってヨーロッパの方へ行こう
と想う。
 

  さて今回のインドは一週間の東京出張のまま9月28日成田空港から
JALの直行便でニューデリーに飛んだ。11時20分発で17時40分着
日本とデリーの時差は3時間半。行きは約10時間のフライトである。 
帰りは風向きの関係なのか7時間35分。最新の映画と持ち込んだ浅田次郎の
「蒼穹の昴」とリチャードバックの「one」のおかげで意外とあっけなく
ニューデリーに到着した。

 空港でドルをルピーに換金。その後タクシーで空港近くのホテルまで移動
翌日朝一番でベナレスに飛ぶからだ。最近お気に入りのホテル予約サイト
「agoda」で予約していたのだがバウチャーの印刷を忘れたため詳細な
住所がわからずに道に迷う。

 1時間ばかりウロウロするが、ブロック名さえわからないので仕方なく、
日本のスタッフに連絡をとりホテル名「Tanisha Villa Hotel」で調べて
もらうが結局わからず「agoda」の24時間電話サポートへ連絡。

 教えてもらった住所へ行くも看板さえ出ていない。ただの家。玄関にたむ
ろしているインド人に「ここがホテルか?」と聞くも曖昧な返事。
中からスタッフらしき人が出てきて「そうだ」という。

 ようやくチェックイン。ちなみにHPの写真とは相当の隔たりがある。
まったく違うといってもいいほどだ。僕以外に客らしい客はいない。
値段のわりには、サービスも部屋も中途半端で満足度は最低。
しかしこれがインドなんだろうと就寝。

 翌日インディアンエアーでベナレスへ一時間。旧型の飛行機だと聞いてい
たがそうでもない。なにも問題なく到着。空港の外にでるとタクシーの客引
きが一気に襲ってくる。英語がわからないふりをしてタバコを一服。その後
適当なプリペイドタクシーで宿泊予定のダイヤモンドホテルへ。

 距離はたいしたことないのだが、信号がないのですべての交差点が酷い
渋滞でリキシャに牛に自転車がひしめいている。ホテルまで二時間近くも
かかった。

 ガートまで歩いて10分という比較的しっかりしたホテル。部屋は一番
グレードの高い「スイート」。とは言っても一泊7500円だ。

 荷物を降ろしガートまで歩いてみる。
 去年行ったバングラデシュと同じ感覚がもどってきた。

 街は牛のうんこだらけ。建物は古く、道にはゴミが散乱している。小道を
抜けガートを目指す。ガートとはガンジス川の岸辺から階段になって河水に
没している堤のことで、主にヒンドゥー教徒が沐浴する場として使われてい
る。有名な火葬場ももちろんここにある。

 ベナレスはヒンドゥー教の一大聖地で3千年の歴史があるそうで、インド
各地から沐浴目当てで巡礼者が集まる。日本人旅行客も多く、街でよく日本
人に出会った。

 ベナレスはマンハッタンやサムイまた香港などと同じで街を歩いて感じら
れるのが良いところで僕は好きだ。

 ちょうど陽が沈みかけて、あたりが暗くなってきた。夕日はガンジス川の
反対に沈むため夕焼けは拝めない。つまり朝日を狙うことになる。日の入り
は朝5時半である。

 ガートには人が溢れていて、沐浴している中には顔を洗う人や泳いでいる
人もいる。手漕ぎのボートで川下りをためす。200ルピー約600円だ。
思いのほか川の流れは早い。水は「味噌汁」のように茶色でまったく透明度
はない。どう考えても浸かる気にはなれない。それほど強い宗教観なのだと
改めて思う。

 聞けば病気をした人や皮膚病の人また子供は火葬されずに石をつけて川に
そのまま流すそうだ。なにもかも飲み込むガンジス河の偉大な流れである。

 ライトアップされた建物の合間から祈りの合唱が聞こえる。どんぶら川の
流れに揺られながらシャッターを切る。写真はどこを撮ってもいい。

 ホテルの一階にある「ビストロ・ベナレス」でチキンカレーとエッグカレ
ーを食べる。見た目は悪いが味は絶品。そういえば昨日のホテルも飯は美味
しかった。

 まだ9時だが、することもないのでさっさと就寝。そういえばニュースで
また新たなテロの情報が流れていた。

 

  2008年10月10日   岡崎 太郎