773-インド-3

今日も朝5時に起きた。

 メインガートの「ダシャーシュヴァメーダ」へリキシャで向かうためだ。


「ダシャーシュヴァメーダ」は、数あるガートの中でメインというだけあっ
て一番大きく賑やかな場所だ。まだ陽も昇りきってない時間だから、テロの
心配もないだろう。
 

 ホテルの前でリキシャを拾い向かう。齢五十歳を超えている痩せた男は、
全身でリキシャを漕ぐ。ハイカーストのしるしとして剃りあげた頭の後頭部
にチョンと髪を残し結んでいる。もっさりと耳毛が長く伸びていて妙だ。

 メインガートの手前はすでに人でごった返している。
 頼んでもないのに運転手の親戚という20代の男にバトンタッチされる。
シルクショップを営む兄貴が日本語が話せるそうで、この男なかなかの日本
語を話す。この手の奴は怪しいのが一般的だが、なかなか顔も格好も小綺麗
で爽やかなのだ。一緒にいて違和感はない。

 今日はボートに乗らず、ただただ散策する。朝日に染まるガンガーは今日
も雄大だ。それにしてもガイドがいようといまいと構わずセールスをかけて
くる。朝からご苦労なことだ。

 腹が減ったので小路を抜けRASHMIゲストハウスの屋上にある
「ドルフィン・レストラン」で朝食。眼下に広がるガンジス河と街並み
そして溢れる人を撮影する。遠目に風景を見ていると、ゴミや汚さが気に
ならない上に空気も澄んでいて風が心地よい。なんだかインドではないよう
な錯覚を覚える。古いラテンリゾートの海岸沿いといった風情だ。

 次回来ることがあれば、このゲストハウスに泊ろうと思う。
スタンダードで40$税金が5%。部屋はスーパーデラックスで110$。
ガート沿いの宿泊施設ではもっともまともな施設だと思う。価格ももっとも
高い部類に入る。(ベナレスでもっとも高級なホテルは5つ星のタージガン
ジスだ。敷地や庭園は立派でプールもあるが、ロビーやレストランはそれほ
ど高級ではない)

 朝食後、兄貴のシルクショップへ挨拶がてら寄ってホテルへ一旦戻る。

 パンディとロビーで合流し「サルナート」へ向かう。
(仏教の四大聖地:生誕の地ルンビニ・悟りの地ブッダガヤ・入滅の地クシ
ナガルと並ぶ、初説法の地(初転法輪の地)サルナートである。
仏陀が悟りを開いたあとはじめて説法をした仏教の聖地で最初の聴衆は5人
の修行者と森に住む鹿だったと言う。

 あまり期待もしていなかったが、あまり見るべきところもなかった。
 早々にサルナートを離れ、パンディーの自宅へ向かう。

 奥様の手料理を食べようというパンディーの提案だ。車で約2時間、どん
どん奥地の田舎に入っていく。広大に広がる平野は日本の田園風景に近い。
インドネシアのバリでも同じ光景を見た。やはりアジアなのだ。稲の穂先が
重たく実っていた。

 車1台がようやく走れる舗装されていない道を進んでいく。綺麗な英語を
話し、ヨガのマスターであり、大学までの教育を受けた男が、これほど離れ
た場所から観光客相手の仕事のために移動しているのかと思うと複雑な気持
ちになる。

 いくつもの部落を抜け、ようやくパンディーの集落に車が止まった。
男の子2人と娘1人。奥様とお爺さんの6人家族。自宅を見せてもらうと、
台所は照明もない小さな部屋の土の床にコンロがぽつんとそのまま置いてあ
るだけだ。パソコンはなく小さなブラウン管のテレビがある程度だ。メール
はもっぱら携帯電話ということになる。

 貧しい。庭に面した壁には燃料用に「牛の糞」を貼り付けて乾燥させてい
るおかげで臭いも酷いが大量のハエが発生している。水は井戸水に頼ってい
る。ネット回線などあるはずもない。

 日本人が珍しいのだろう。突然の来訪者に近所の子供だけでなく大人も
ぞろぞろと集まり遠巻きに見ている。敵意はなくただ好奇心だけのようだ。

 家のすぐ裏に公設の小学校があるので案内をしてもらう。
すぐに2百名近い子供に取り囲まれる。アフリカでもそうだったが、途上国
でよくある風景だ。囲まれて子供達の好奇心まるだしの中にいると、何かし
なけければいけない責任のようなことを考えさせられる。

 ただタイミングよく何か思いつくはずもない。
 ただ何もできない自分の無力さを感じる。

 パンディーいわく、教師の質が悪いと嘆いていた。叱り方ひとつ頭ごなし
なのだ。そういうメンタルなことへ気が回らないのだろう。日本でも最近の
ことだ。

 奥様の手料理は、2種類のカレーとプレーンなナンとチャパティと大きな
手作りのポテトチップス。カレーの具には、脱水したチーズを揚げたモノが
入っている。味はまぁまぁなのだが、ただただ衛生状態が極めて悪く、お腹
をこわさないか心配だ。しかし彼らにとっては贅沢な食事と思われ残すわけ
にもいかずに完食。最後にデザートまで出てきた。
(ココナッツミルクに寒天が入っている簡素なものだった)

 パンディーと奥様にお礼を伝え、車に乗り込んだ。
 長閑な田園風景を抜けベナレス空港へ向かった。

 ニューデリー行きの飛行機は珍しく定刻に飛んだ。
 さよならベナレス。
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  2008年10月23日   岡崎 太郎