799-アテンション

「AIDMA」というマーケティングの基本とされている造語がある。

今から90年前の1920年代にアメリカで広告の実務書を出版した
サミュエル・ローランド・ホールという人が著作の中で示した購買者の心理
プロセスを示した略語造語だ。

 下記の5つの頭文字を組み合わせたものでマーケティングに従事しない人
も何かの本で読んだことがあるだろう。一応おさらいで読んでみて欲しい。

 Attention (注意)
 Interest (関心)
 Desire   (欲求)
Memory (記憶)
Action (行動)

このうち
Attentionを「認知段階」
Interest、Desire、Memoryを「感情段階」、
Actionを「行動段階」と区別している。

 最近では、インターネット上での購買プロセスモデルとしてAIDMAに対比
してAISAS(エーサスまたはアイサス)というモデルが提唱されている。

 Attention (注意)
 Interest (関心)
 Search   (検索)
 Action (行動、購入)
 Share (共有、商品評価をネット上で共有する)

 Search 検索とShare 共有という2つを組み合わせたのはナイスであるが
 ちょっと5段間に縛られてないかと思うのは僕だけではないだろう。

 Desire(欲求)はどこに行ったのだろうか。

 また必ずしも現段階では消費者が全員「Share」などしていない。

 ただし一部の消費者が「Share」情報であるインプレッション等をブログ
やSNSに書き込み、その情報が広く影響を与えていることは確かだ。

 特に高額の商材や噂が先行しがちな新商品は特に注意が必要だろう。
 SNSなどのコミュニティーや2chなど予想以上に購買するかしないか
に影響を与えている。

 情報というのは多ければいいというものではなく、ある一定以上入手する
と満腹気味になって、急にその商品への関心が薄くなることがある。

 ある部分ミステリアスな部分を残しておかなければ関心というのは維持
できないのだ。

 さて見逃せないのは Attention (注意)である。

 玉石混合で大量に溢れている広告や宣伝の中から、当該商品に注意を向け
させるには、少し特異で変わったクリエイティブを行うのが当然のように
理解されている。特にTVCMはその最たるものだ。

 しかし Action (行動、購入)に繋がらなければなんの意味もない。
 認知だけが上昇しても空虚でしかない。

 この実をどう考えるのか。

 安易なアイデアに振り回される前にしっかりと「しくみ」で考える
頭が必要だと思う。ただしセンスの違う2つのタスクを発想し組み合わせる
ことができる人間は相当に天才である可能性が高いのだとも思う。

  2009年04月17日   岡崎 太郎