810-意味

この炎天下の中、ある地方銀行の入り口に若い男が立っている。

 聞けば、防犯のためだと言う。
 数年前に強盗があったのが警備員を配置した理由だそうだ。

 

 思わず「もし強盗が来ても、君が体を張って止める覚悟があるのか?」
と聞いた。銀行はどう考えているのだろう。もし命を落とすような事になっ
たら、最悪のリスクに対してどう考えているのだろう。

 平成16年12月29日のページに頭取からの言葉として記述があった。
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 最後の1日防犯に特に注意して下さい。
 警備員委せにしないようにしましょう。
 最後に強盗に入られてから13ヶ月が経過しました。

 警備員については、お客様から、「ジロジロ見られて不快だ」といった
苦情が来たこともありました。
 これはお客様に「警備員はお客様と銀行の間に立ちはだかって銀行を守っ
ているのだ」という誤解があるからでしょう。
皆さんの中にもそういう誤解があるかも知れません。

 そうではありません。「警備員はお客様と強盗との間に立ちはだかって
お客様を守っている」のです。

 勿論、立ちはだかるといっても文字通りそういうケースが起ることは
避けなければなりません。警備員がいるという示威によって強盗が寄り
つかないようにしているのです。

 従来強盗への防御線はカウンターでしたが、これではロビーのお客様が
人質に取られ傷つけられたりしては取り返しがつきません。
警備員配置は、防御線をカウンターから店舗の入口に前進させ、強盗を店に
入れないという方法をとることにしたということです。
(しかし入り口で強盗かどうかの判断はつきませんね)

 警備員がただ立っているだけだと、何か無駄なような気がし、ロビーで
案内ぐらいしてもらいたい、駐車場の車の整理ぐらいして欲しいと思いがち
です。店の状況によって、警備員に日々どういう仕事をしてもらうかに
ついては、ある程度柔軟であってよいと思いますが、店の裏で車の整理を
しているうちに表から強盗に入られたでは困ります。
(入り口をスルーして中で強盗を働き人質をとって逃亡したらどうなるので
しょう。残念ながら、どのみち事件が起きれば意味がないのです。)
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 狙われる確率はいったい何パーセントなのだろう。確率はわからないが、
ネットで調べてみると確かに年に一回程度とくに年末になると事件がある。

2001年11月08日 男女4人組が3700万円奪い逃走
2002年11月07日 元自衛官 行員におもちゃの拳銃を見せ500万円を奪った
2002年5月22日 パンティストッキングで顔を隠した強盗が押し入った。
2003年11月13日 午後男が押し入り現金110万円を奪う。
男は正面から侵入。店内にいた女性客に包丁を突きつけ金を要求。
店内にいた客はこの女性だけで、男は車の鍵を奪い隣接する駐車場に止めて
あった女性の乗用車で逃走した。

 ちょっと調べただけでも4件の強盗事件が発生している。
 しかも逃亡までは成功している。たしかに物騒ですね。

 頭取のいうように警備員の配置が抑止力になっていればいいのだが、
警備員といっても定年をとうに過ぎたなんのトレーニングも受けていないと
思われる民間人だ。

 地銀といえ103店舗を構える銀行である。経費は一日1万円として
1店舗約300万円。約3億円の経費だ。土日祭日ATMしか稼働しない時
に警備員が立っているかどうかわからないが・・・。

 強盗にあって何もしないわけには行かないのかも知れないが、警備員を
立たせる以外にやりようは無いのだろうか?もちろん偽札の用意や防犯カメ
ラも設置しているだろう。抑止力であるなら巡回では駄目なのだろうか。

 いったんはじめた活動を見直すのは大変勇気のいることかもしれない。
しかし炎天下の中、ボーと立たせるのはどうだろう。

 命の関係することであるがゆえに問題は根深いと思う。
 どうせやるならSWATなみの精鋭で取り組んでみたらどうだ。
 そして安心な銀行としてPRしてはどうか。

 しかし考えてみればタクシー強盗にコンビニ強盗まで強盗に巻き込まれる
リスクは増大しているのだから、利用客もそのことをもう少し意識するべき
なのだろう。

 話は変わるが、空港でペットボトル検査というのがある。
 揮発性の高い液体の持ち込みを阻止したいのだろうが、いったいそんな
間抜けなテロリストがいるのだろうか?国内すべてのセキュリティーゲート
にあの液体チェック装置を配備する経費はいくらなのだろう。

 もしテロリストが発見されて、あのバイト気分の警備員になにができるの
だろう。だいたいライターの持ち込みにしてもそうだ。先日いつも没収され
るので、放棄箱から一個ライターをくれと頼んだが駄目だった。
どうぜ放棄しているのだから、到着地で別のライターでいいので返却してく
れればリサイクルだと思う。だいたい1個も2個も10個もいっしょ。
ちなみに海外の飛行機ではすべて没収である。一人1個限りという理論は
おかしい。いったん全部没収して到着地で別のライターを返せばいいのでは
ないか。もしくは新品のライターをプレゼントすればいい。コストは30円
程度だろう。

 またひと昔前まで、荷物の引き替え時に、半券と荷物を係員が確認してい
たが、最近は自主性に任せている。だいたい海外なんかノーチェックなわけ
で本当に紛失した際の手続きに必要なだけで、中途半端なことならやらない
ほうがいいのではないか。

 それから空港の税関職員だ。怪しい奴の荷物をチェックするというあの
システムはおかしい。税金の無駄使いである。薬物などはもっと厳格に調べ
る手立てがあるはずだ。担当官の勘にいつまで頼るつもりだ?

 銀行の警備員の件は別にしても、世の中じつに無駄なことが多い。

  2009年09月02日   岡崎 太郎