858-アップルミュージックが引き起こす変革

「LINE MUSIC」や「AWA」といった同様の定額制音楽配信サービスが、
いよいよ日本でスタートした。
各社とも、ただいま3ヶ月無料という切り口でユーザーの囲い込みCM合戦が
繰り広げられている。

 導入にあたっては、日本音楽著作権協会(いわゆるJASRAC)と
モメたと聞いている。
なるほど充分にカンタンに想像できる。そもそもJASRACとは
「iTunes Music Store」開始時からもめっ放しだった。

「LINE MUSIC」や「AWA」といった同様の定額制音楽配信サービスが、
いよいよ日本でスタートした。
各社とも、ただいま3ヶ月無料という切り口でユーザーの囲い込みCM合戦が
繰り広げられている。

 導入にあたっては、日本音楽著作権協会(いわゆるJASRAC)と
モメたと聞いている。
なるほど充分にカンタンに想像できる。そもそもJASRACとは
「iTunes Music Store」開始時からもめっ放しだった。

 本国アメリカで「iTunes Music Store」がサービスを開始したのは
2003年。そこから2年後に日本でのサービスが開始された。
権利保護と金銭面の折り合い、配信というスタイルによって
CDという既存のメディア販売の将来がどうなるか、
まさに黒船来航であったと思う。

 次が2011年10月にアメリカで開始された「iCloud」の時にも
壮絶にモメる。
なにせ「iTunes in the Cloud」だと複数の端末に対し何度も
配信することになる。
いままでの枠組みやルールでは裁ききれない。

 思い返せばアップル以外の国内の音楽配信では、音楽ファイルに
DRM保護プログラムを課したファイルを採用していた。
いわゆるデジタル著作権管理である。特定のソフトウェアあるいは
ハードウェアでしか再生できないとか、コピーは何回までとか、
制約制約制約というルールの中に音楽が押し込められていた。

 もともと2002年当時のアメリカも同様の状況であった。
アメリカのレコード産業は団結してコピー防止規格を
制定しようとしていた。なにせこの頃Napsterをはじめとした
無料違法ダウンロードのサイトに音楽業界は頭を痛めていたのだから。

 当時iTunesにもDRMは存在した、同じプレイリストを
CD-Rに焼けるのは7枚まで。再生可能なコンピュータや機器は5台まで
というものだ。2007年ジョブズは主要レコード各社にDRMを撤廃
したい要望考えをつきつける、そして紆余曲折ありながら、
段階的にDRMフリー楽曲を提供してきたが、2009年3月すべての
iTunesの音楽からDRMを撤廃した。

 まさにジョブズのビジョナリーの勝利である。

 いまとなっては当たり前だが、iTunesで1曲を99セントで
バラ売りというジョブズのアイデアは、既存の音楽業界のアルバムを
売るというビジネスモデルを破壊するものだったわけである。
シングルのヒットを呼び水に、アルバムを売るという濡れてに
泡モデルはここに終局し、ユーザーは別段聞きたくない音楽に
金を払う必要がなくなった。

 さて本題のApple Musicに戻ろう。
 6月30日こんなニュースが飛び込んできた。

Appleは、定額音楽ストリーミング配信サービス「Apple Music」の
2015年06月30日に世界100ケ国レベルで開始すると発表した。

 その後

 アップルは3か月間Apple Musicを無料トライアル期間とし、
ユーザーに対し月額料金を無料にすると発表した。この間に再生された
楽曲使用料は免除するよう3大レコード会社に了解を得ていた。
 
 すると
 そんな馬鹿な?と反論したのがテイラー・スウィフトだ!

 インディーズや若手ミュージシャンにとって3ヶ月の「タダ働き」は
死活問題だ!としてテイラー・スウィフトは「Tumblr」へ声をあげ、
最新アルバム『1989』をAppleMusicに提供しないと発表した。
そこで事態の収拾のためアップルは無料試聴中であってもアーティスト
サイドに1曲あたり約0.2セントの印税を支払うと方針を転換した。

ちなみに「Apple Music」では、楽曲の権利保有者との売上分配について、
利用料金(月額約10ドル)のうち最低でも71.5%が音楽レーベルなどに
わたるとされている。
(2012年度のiTunesの音楽の売上は43億ドル。その内34億ドルを
レコード会社に払ったとされる)


 日本の音楽ソフトの売上額は1998年の6075億円を頂点に、年々売上は減少し
2014年には遂にピークの約半分3000億円を割りこみ2979億円となった。
理由はyoutubeやニコ動などネット上に無料コンテンツが溢れているからで
あろうか?
たしかに2010年以降はスマホへの以降によってネットへのアクセスがより
容易になった。

(CDの売上の落ち込みはこの10年(2005年から2014年)の4222億円が
2542億円と40%の1680億円も下がってしまった)

 それにしても日本でのサービス利用料金980円。

 このプライスは圧倒的に安い。
 ダウンロード1曲200円として毎月5曲買うだけだ。

 しかし死ぬまで払うと考えれば、年間11760円、50年聴くなら
58万8000円となる。

 50万というと高い気がするが、そんなことはない。
 CDに換算すれば一枚2500円として、たった235枚である。
 (僕はたったと思うけれど、よくよく考えれば一般の人は100枚も
買わないか)

 毎月980円で新曲も古い曲もいくらでも聞ける。
 まさにライフコストと言える。(僕にとってはね)

 さっそく利用してみる。
 うーむ。
 なんか凄い。980円というよりも、もう、これは、ほとんど無料と
いう感じだ。
 
 ドンドン気になる楽曲をダウンロードしていく。
(ちなみにApple Musicからダウンロードした楽曲は、有料で購入した
音楽と違いコピーはできない保護されたファイルのようだ、MACや
Iphoneなどではオフラインでも聴ける配慮はある。普通に使う分には
何も問題はない)

 わざわざ買うまではと考えていた曲もドンドン追加していく。
 
 しかしハタと気がついた。
 俺は何をしているのだ?

 980円で3000万曲以上になると言われる膨大なDBへ、
いつでも、どこでも、いくらでも、アクセスできるなら、自分の領域と
相手の領域など、考えること自体ナンセンスなのではないか?

 まるで、『空気を自分のものだと柵を立てて主張している』ようなものだ。

 デジタルでクラウドでデータをやり取りしてるわけで、単に
プレイリストを作っているだけではないのか。もしかして?

 その昔、レコードやCDといったパッケージメディアの時代、この物体は
俺のモノという実感があった。しかしiTunesからはじまりCloudそして
Apple Musicになってしまうと、まるでそんな実感は無い。
どうも感覚は「シェア」に近い。

 ともかく聞きたい音楽を探して、自分のリストに追加する。
 聞いてみたかったクラシックの名盤など、わざわざ買うほどはなかった楽曲を
ドンドン追加する。
同じ楽曲の演奏者違いや年代違いなど、聴き比べ用にダウンロードしていく。
 
 「試し聴きと、よければ買うという作業が合体してひとつになった感じがする」

 ダウンロードしながら、おやっ?と思う。
 おいおいこれだけの曲を実際に聴くには、それなりの時間が必要になるぞ。

 1日24時間、1曲5分で1時間にたった12曲、24時間で288曲、1年で10万5120曲だ。
 僕があと40年生きるとして、同じ曲を1回しか聞かないとしても420万曲しか聴けない。

 いまは数百万曲でそのうち3000万曲をラインナップするという、しかも楽曲は
日々増殖していくわけで、とても全てを聴くことはできないし、そんな事に意味は
ないのである。

「要は、日々好きな曲をどう聞いて楽しむかが本質となるのだ」
「お金の制約が消滅し、時間という制限だけが残った」

 この事実にどう向き合うか。

 ある時は新しいジャンルに、自由に飛び込んでみる。
思いっきり「ジャケ買い」改め「ジャケ選び」をしたり。お気に入りのアーティスト
作品のプロデューサーが関与した別のアーティスト作品を試してみたり、
まったく興味のない世界を覗いてみたり。

 直感の感じるままに、試してみることが怖くなくなる。
 素晴らしい!ワンダフルである。

 出会いや縁、またキュレーションの意味が増大しそうだ。
 
 お金の制約が無くなって有り難みがなくなった感もあるけれど、
 せっかく買ったのだからみたいな、変な執着がなくなったわけで、
 いよいよ持って楽曲の良さ一本勝負という気もする。
 
 さて良いこと尽くめのApple Musicだが、ぜひともハイレゾに対応して
ほしいと思う。
 これは回線スピードとHDD等の容量増大がボトルネックなのだが、
動画は4K映像、音声はDSDハイレゾといった大容量のコンテンツは
まだまだブルーレイ等の旧メディアに軍配があがる。

 まぁこれは時間の問題で解決すると思うけれど

iTunes MusicMatchで所有曲をクラウドで管理可能の年間3,980円も
払うんだっけ?

  2015年07月16日   岡崎 太郎