859-バンカーから醸造家へ 20170227

サードワールドで自然派のワインにトライしたら、どうなるのだろう?
そう思ったんです。
11年前にね。それまで東京とロンドンで銀行員をしていたと言う
彼とは、香港ハリウッドロード沿いにあるヴァンナチュールの
専門店で偶然に出会った。ニュージーランドで自然派ワインを
作っている醸造家の佐藤嘉晃さんだ。


サードワールドで自然派のワインにトライしたら、どうなるのだろう?
そう思ったんです。
11年前にね。それまで東京とロンドンで銀行員をしていたと言う
彼とは、香港ハリウッドロード沿いにあるヴァンナチュールの
専門店で偶然に出会った。ニュージーランドで自然派ワインを
作っている醸造家の佐藤嘉晃さんだ。

 自身のワイン「SATO」をピノからずらり6種類携え、香港の
インポーターや飲食店向けのクローズドな試飲会にやってきた。
そのイベントの最中に、たまたま店に入ってしまった僕は
佐藤さんと出会した。

 最初は香港在住のワイン好きの集まりかと横目に見ながら、
膨大な在庫のセラーに潜り込んでワインを物色していたら、
店員がニュージーランドのサトーだという。
「サトー?彼は日本人か?」と質問すると、もちろん日本語も
話せるといって笑った。僕は盗み聴きした彼の英語と態度に、
へぇこんな日本人もいるのかと思った。
(ワイン「SATO」を知らなかったのは僕の勉強不足と
後からわかるのだが・・・)

 セラーで勧められた自然派のお宝シャンパンを購入するよと
店主に伝え、セラーの扉を出て、イベントの後方で、
モノ欲しそうに佇んでいたら、フランス人の店主が、
「ほらSatoのシャルドネだ」といってグラスに注いでくれた。
それをきっかけに佐藤さんに「頂きます」といって挨拶をした。

「ニュージーランドはどちらですか?」
「クイーンズタウンの近くのセントラルオタゴです」
「去年ギブストンのワイナリーには行きましたよ」
「そうですか」
そうして話をしていくうちに、僕が最近いきつけの日本橋蛎殻町の
「ラ・ピヨッシュ」の林くんと友達というので一気に仲良くなった。
しかし繋がるときは繋がるものである。東京に来たときは
必ず行くのだと笑ってくれた。すぐに2ショットを撮り、
FBで林くんに送信する。

 そんなわけで、シャルドネからリースリング、ピノノワール、
ピノグリと次々に飲ませて頂く。香港二日で、そのあと
バンコク2日そしてシンガポールに1日滞在し東京をまわって
ニュージーランドに戻る予定という、その日程だと僕はちょうど福岡の
予定で、東京では偶然の出会いはなかったと思われる。
縁は不思議なものだ。一度佐藤さんのワイナリーに行きますよと
言ってさよならをした。

 佐藤さんは大学を卒業後、日本興業銀行で社会人のキャリアを
スタートして、その後ロンドンへ、そこでワインの深淵な魅力の
虜になり、いつしかワインを自分で造りたいと思うようになった。
2006年一発発起して銀行を辞め、ニュージーランドに渡り、
クライストチャーチのリンカーン大学でぶどうの栽培と
ワインの醸造を学ぶ。

 卒業後の2007年からはセントラルオタゴへと移り、
NZランド最高峰のワイナリーであるバノックバーンにある
フェルトンロードで実際に二年半の間、畑とワイン作りを学び、
その後ギブストンのマウント・エドワードでの四年間ワインメーカーとして
勤務する間に、自身のワイナリー「サトウワインズ」を設立する。

 初リリースは2009年の二樽190ダースという僅かなピノノワール。
それから順にピノグリージョとリースリング、そして2012年に待望の
シャルドネとリリースした。

 佐藤さんは、有機バイオダイナミック農法が信念で、葡萄を
供給してくれる提携農場も、すべて畑はNZ政府公認の有機栽培の
認定であるピオグロを取得している。もちろんワインは化学薬品や
添加物を使わない無添加のヴァンナチュール。亜硫酸の添加も
ボトリングの直前にわずかにおこなうのみで、圧搾や発酵工程では
一切添加しない。
 理由はワインを作る微生物の働きを阻害するから
「なんと言ってもワインは微生物が作っているんです。自分たちが
作ってる、ワインをわかってるなんて思った瞬間からなにか大切な
モノを忘れてしまうと思います」
 自然のバランスが維持されたときにこそ、テロワールの個性が
表現されるというサトウワインズの基本理念を後で知りなるほどと
思ったのです。

 佐藤さんからは直接買えないということで、ワイングロッサリーさんの
サイトから大人買いをしました。届くのが楽しみです!
僕のおすすめはピノグリとピノノワール!

 おまけ

 この香港唯一のヴァンナチュールの専門店の壁面にOBEYの
シェパード・フェアリーによる壁画がある。店主にOBEYだよね?と聞くと
4週間前に本人が来て描いていったんだという。なんという話だ僕は彼の
大ファンである。香港の新しい名所になるのは間違いないだろう。
  2017年03月02日   岡崎 太郎